悪魔的ドクター


―――――――
―――…病院。



「は?」



速水先生はペンを動かしていた右手を止め、あたしに迷惑そうな顔を向けた。



診察室に入った瞬間に
『彼女いるんですか?』って聞いたのは、間違いだったみたいだ。


…当たり前か。



「俺に何だって?」


「あ、いえ…なんでもないです」



あまりの威圧感に
もうこれ以上は言えません。



「俺の事より咲桜ちゃんは自分の事を考えなさい」


「…はい」



最近この言葉
お決まりになってませんか?



仕事モードの先生は
まるで別人。
プライベートを持ち込まない。


そして
ヤケに厳しく、怖い。



だけどこればかりは
聞いとかないとあたしの生活がかかってます。



このまま知らずに住んでいて
いきなりドッキリバッタリ
彼女と鉢合わせなんて


絶ッッ対イヤだから!!!



「だから先生!彼女はッッ」


「あ゙?」


「す…すみません」



思い切って聞いてみるが…
撃沈。



やっぱり病院にいる『医者』の速水先生に聞くのはダメか。



諦めて大人しく診察を受けた。




すると…




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