存在と言う名の歌
私は、緊張しすぎて言葉を出す事が出来なかった


でも、ここで勇気を出さなきゃ


もうこのチャンスは無いかなって



「あ、あのー...」


「ん?どうした?」


いつもの笑顔に圧倒され、余計に言葉が出ない


負けないように私は言う


「ユウキは好きな人居ないの?」


言った瞬間彼は少し間を空いたが答えてくれた


「いないよ、一応ね」


聞いた瞬間ホッとした、居たらどうしようかと
ソワソワしていた。


「そっか」


「それがどうしたの?」


「んっとねー」


恥ずかしかった、言うのが―――...


踊り場にある窓が開いていて


そこに風と共に入ってきた桜の花びら


「ユウキの事ね、私好きなのかもしれないってのかな...」


言葉が行き詰まりそうな感覚に私は眩暈を感じる


「え、それって...」


「つ、つまり、えっと...その...」


「俺の事が好きって事?」


「ぁ、はい!!って...あ」


ついに本当の事を言ってしまった



ユウキが好きって事を



☆ ☆ ☆
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