存在と言う名の歌
桜の香り、風の音、紅い夕日の光差す階段


私とユウキが居る空間の音はそれしかない


「...」


「...」


「ぁ、えっとー...」


話を作らなきゃと言葉を作ったが


「付き合って欲しいって、次は言うのかな?」


ずばり的中していた、彼の言葉に嘘は無かった。


「ぁ、うー...はい...」


一層頬を紅くする私


「その...この私で良ければ...」


一つ一つの言葉が気持ちの風となって彼に伝わるよう


「付き合って...下さい」


最後の放たれた言葉、貫き通す桜の香りに沿って




☆ ☆ ☆


数分の無言空間


そして彼は空間を裂くかのように次のように話す


「良いよ」


「...えっ...」


彼の笑顔と言葉に、これは真意だなと思った


ドキドキが一層に増し、めまいも強くなる


初めての告白で、初めての恋。


それが実ったのは初めて―――...


私は意識が薄れていくのを感じ...


すると、ふわっと優しく香る温かいのが


身体を包む。


☆ ☆ ☆
< 11 / 13 >

この作品をシェア

pagetop