とある烏の物語
その言葉を聞いてからすはいいました。

『もちろん。いいですよ。私が今までみたたくさんの美しい海の話をしましょう。』

そしてからすは話はじめました。
海がどのようなものなのか。
どれほど美しいのか。

それを少女はとても嬉しそうに聞いていました。

からすは毎日、毎日少女のもとに通いました。

そして言うのです。

『こんにちは、お嬢さん。今日はどんなお話をしましょうか。』

少女は毎日からすの話すこと、そしてからすが毎回持ってくる美しい海のお土産に心躍らせました。

あるときは太陽の光をあび七色に輝く貝殻。

またあるときは海の色を溶かしこんだような碧い小石。

その全てに胸を弾ませ、その海と同じ蒼い瞳をキラキラと輝かせるのです。
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