とある烏の物語

からすは毎日、毎日海に行きました。

少女へのお土産を探すために。

少女の喜ぶ顔が見たくて。
少女の嬉しそうに光る瞳を見たくて。

そうして幾度も海に足を運ぶたびにからすの体に変化が起こりました。

なんとどんどんその白銀の体が碧に、海の色に染まっていくのです。

一ヶ月もする間にからすの体は完全に染まり、海のように日光をいっぱいにあびキラキラと雫が反射するような碧い体になりました。

少女はとても喜びました。

「まぁ、なんて美しいのでしょう。サファイアよりも輝き、空よりも澄んでいるわ。
《海》はこんな色なのね。あぁ今まで見れなかったのが残念だわ。」

少女は毎日からすの話を聞きながら、その美しい体に感嘆の息をもらすのです。