とある烏の物語
しかし、そんな美しいからすの噂がまわらないわけはありませんでした。

すぐにからすは街中で有名になりました。

するといつでも悪い事を考える人はいるものです。

そう、からすを捕まえて売ろうとする人がでてきたのです。

有名になるとともにからすはあちこちを逃げ惑いました。

大人は銃で打ち落とそうとするし、子供も棒をもちからすを狙いました。

もはやその街で味方はあの少女だけになっていました。

(もうこの街にはいられない。)

からすはそう考えるようになりました。

ですが一つひっかかる事がありました。

少女のことです。

あの毎日瞳を輝かせ、からすがくるのを楽しみに待っている少女。

彼女の悲しむ顔が見たくありませんでした。
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