ぷち遠距離?
「「おはよー!!」」
教室に入って、自分の席にスクバを置く。
そして、既に他の男子と話している宮田を確認。
話してる、というかその場にいるだけだけど。
宮田はそんな明るいわけじゃなく、無口に近いけど、
男子にすごく好かれてる。
あ、変な意味じゃないけど。
会話の途中でたまにする発言が、
的確すぎる、とか。
すごく変態だ、とか。
ともかくキャラが謎。
「誰見てんのひかり!!」
「うわっ」
突然後ろからかけられた声に素で驚く。
「なんだ裕香か…」
「おはよひかり。朝から宮田くん見て何考えてんの!」
裕香は私の親友。
で、私が宮田を好きだということを見破った一人。
私はなんかわかりやすいらしく、既に見破った人が数人いるっていう。
誰にも言いふらしてはないのに。
「裕香。そこは小声で」
「朝から宮田くん見て何妄想してん?」
「してません」
裕香は自分自身は恋愛とかする気はなく、専ら人の恋愛をみて楽しむとか。
「ひかりは結局本命あげたの?」
「あー…あげたよ?」
いきなりふられたのは昨日のバレンタインの話。
私は宮田にちゃんと本命をわたした。
普段は上手く話せなくって、メールしかしないけど、
せめてイベントはちゃんとやろうかな、って。
誕プレもあげたし、昨日だって義理チョコ配ってる時に宮田にだけ紙袋に入った本命を渡した。
「ちゃんと告白した?」
「……メールで」
「それじゃダメじゃん」
裕香の苦笑。
私だってわかってるのに。
人見知りな私は同じく人見知りで無口な宮田に話しかけるのがこわくて。
メールは面白く返してくれるから、用事はメールで済ませてしまう。
直接話しかければ話しかけたでそれなりに面白い話をしてくれるんだけど。
…話しかけるまでが怖い。
「とりまバレンタインの詳細を聞かせなさい!」
そういう裕香に私は昨日のことを思い出しながら話し始めた。