そう、これが愛
「部長、研究内容まとめたやつここに置いて置きますよ」
「うん、ありがと」
昨日の衝撃的事件から一夜、なんとか部長は私の希望どおり記憶をぶっ飛ばしてくれたらしい、いつもの嫌味ったらしいめんどくさい部長を久々に見て心底安心した、いや、安心したってなんだよ、でもあんな部長耐えられる自信がない、これでよかったんだと自分に自己暗示をかけ信じ込ませる事にした。
なんとかこれでまた、今まで通り部活動に励めるとせっせとパソコンのキーを打っていく。
「・・・・・・・部長」
「な、何!?歌己ちゃん!!」
パソコンに向かい作業にかかり数分、チラチラとコチラを覗き見る部長が視界に入り呼べばこれだ。
「何か用ですか」
「いや、なんでもない!!」
昨日の記憶は私の渾身の右ストレートで死滅したはずだ、だったらなんだこの部長のそわそわ感、わざわざ試験官を覗く振りして私を見る部長、それでごまかしているてもりか、そのそぶりがまたきもい。
「・・・・・・・・」
「ちょ、歌己ちゃん怒ってる?ゴメンね、チラ見してゴメン」
チラ見してた事認めてんじゃねーよ。
「ひっ!!ゴメン!!本当ゴメンなさい!!本当は歌己ちゃんに聞きたい事があって」
私の顔が怖かったのか小さく悲鳴をあげるとトテトテと私のところに小走りで寄ってくる部長に正直昨日の今日なのであまり近くに来てほしくない。