そう、これが愛
「人の机に訳のわからん薬を置くのは止めてください」
机に置かれた瓶を部長の机に戻すと、傷付いた顔をししょんぼりした部長が見えたが突っ込むといろいろ面倒なので無視する。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・なんの薬なんですそれ」
しょんぼりしたところから戻ってこない部長にだんだん私まで息苦しくなって、なんだこれなんの呪い?堪らず声をかけてしまった。瓶の事を聞いてくれと言わんばかりに成人したいい大人がしょんぼりするなんて日本の将来に不安を感じる。部長は聞かれた事が嬉しいのかニコニコと机に身を投げ出し顔をずいっと出してきたが、すぐにハッ!!とゆっくりと私から少し距離を置いた。
「それはね、アミノ安息香酸エチルだよ」
「?」
「アミノ安息香酸エチルとは胃腸薬で使われる医薬品のこと」
「へー」
アミノ安息香酸エチルが部長のバディ(※相方)というのだけはわかった。つまり吐き気を催した時のタブレット、それを私の机に置くなんて女である私に毎回吐き気催してますという当てつけか。
「喧嘩売ってんですか、窓から放り投げますよ」
「え!?何!?どうしてそうなったの!?・・・・・俺はただ、毎日肌身離さず持ち歩いてるやつを歌己ちゃんの空間に入れたらなんか嬉しいかもと思って、コレ歌己ちゃんの机に置いただけなんだけど・・・・嫌だった?ゴメンね?でもなんか置いたら凄く嬉しかった」