そう、これが愛



「ずっずー」

「歌ちゃんとゆっくりできるなんて嬉しい」


無理矢理ゆっくりさせた張本人を前にご馳走してもらった梅昆布茶をゆっくり飲む。親友である馬場 望 に聞いたところどうやら桐谷 大地という人物は俺様で女泣かせらしい、まぁそれは表面上だとは私は思う、だってこんな内面から虐めてオーラを隠しきれず溢れ出してる人なかなか出会えないだろうし関わろうと思うほど私はアブノーマルではない。


食堂の隣にあるカフェテリアで珈琲を飲む桐谷さんと梅昆布茶を飲む私はどうやら目立つらしい、さきほどから周りに座る女性客に熱い視線と死線が交わって正直。

「目で殺されそう」

「へ?・・・・・・あぁ、ゴメン、場所変える?」

「いえ、私はそろそろ戻りますのでお構いなく・・・・・・ってなんて顔するんですか桐谷さん」


「え?」


笑っているのだけれど悲しそうに笑う桐谷さんが目に入りまたため息がでた。
どうして私の周りは素直じゃない人ばかりなんだ、あ、私が素直じゃないからか。

「桐谷さん」

「はい」

「梅昆布茶おかわりで」

「!!・・・・・・本当その優しさは反則だよ歌ちゃん」

「なんの事ですか?さっさと梅昆布茶を買って来て下さい。パシられるのがいいんですよね桐谷さん」

「素直じゃないなぁ」

「桐谷さんほどではないです」


席を立ち、梅昆布茶を再度注文しに行く桐谷さんの笑顔はどこかウキウキしていて、それを見た周りの女性客が紅茶を口から垂らす風景を梅昆布茶をゆっくり飲みながら小さく笑った。



部長と同じくらい不器用で単純な人はっけん。この人はなかなか面白い。
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