そう、これが愛
私たちの横を通り過ぎる人達から視線を感じる。
まあ、当たり前なのだが。そもそもここは大学内で
魚臭を漂わす発泡スチロールを抱えた男女がにこやかに
会話を弾ませているのだから、だがこの王子只者ではない
「一級品とはまた凄いね!!市場に持って行くって事はさばいてもらうために?」
「はい、プレゼントした人が鮭本体を見て泣きわめきまして」
「まあ見た目少し怖いもんね・・良かったら俺がこの鮭さばこうか?」
只者ではないくせ者だ!!
貴様何奴!!
と脳内で遊び
「え?」
ここは可愛くキョトンとかしておこうか
「俺、料理サークルに入っててお魚は一様さばけるから、まあ良ければだけど?」
また、ヘナっと顔を緩める王子に私としたことが本来のキャラ設定も忘れ首が取れるのでは?と思うくらい縦に振ってしまった。
「じゃ、そうだな。新鮮みたいだし早めに仕上げるから1時間後ぐらいに食堂に取りに来てもらってもいいかな?」
「はい!!何から何までありがとうございます」
「いいよこのぐらい」
銀子を抱えて笑う王子は眩しかった。
「あ、名前聞くの忘れた!?」
「あの男の?」
「くそッ!!王子でいいや、今日から彼は王子だ!!」
「え!?何それ!?どこの国の!?結城君王子なの!?」
「そう彼は結城王子なのでした」
「桐谷、お前まで歌己に巻き込まれてどうすんだよ」
「何言ってんだくそ新井、すでに私に絡まってますよ。すべては私の思うがまま!!」
「今くそって言った?」
「身体も絡まってるもんね歌己ちゃん?いや~ん☆があッ!!」
綺麗なアッパーが繰り出された
「もう虫の季節は終わったのにおかしいですね?」
「ああ、おかしいな」
歌己、19歳、恋のファンファーレが鳴った。