そう、これが愛
「それで?」
「それでって何が?」
お昼休み、食堂でお気に入りのうどんを啜っていると同級生であって私が変人行きの切符を手にした際、高笑いをした馬場 望〔ババ ノゾミ〕親友である彼女が頬杖をつき私を見る。
「斉藤先輩とはどうなの?仲良くなった?」
「うん、罵れるぐらい仲良くなったよ」
「そっかーそんなに仲良くなったんだ、斉藤先輩美形だけどちょっと変わってるって聞くから心配だったんだよね」
「うん、超変わってる。心配してくれたんだ高笑いしてたよね?」
「心配するに決まってるじゃん」
「高笑いしてたもんね」
私は忘れない、あんな甲高い高笑いを披露した馬場 望を。
「で、仲良くなった果てがアレかな?」
「気にしないで、指指さないで、見ないで、意識しないで、あの人三日前からさらに変になったから」
望が私の後ろに向かって指をピンっと指す。
わかってる、アイツがいる事くらい。
三日前のキス事件からどうも部長の様子がおかしい、おかしい事なんて承知の上で関わってきたがさらにおかしい奴に私も戸惑っているのだから。
「なんかもの凄いこっち見てるけど、あれ隠れてるのかな?」
キス事件の日からやたら私を監視する部長に出くわす、朝登校する時部室の窓から望遠鏡で覗かれたり、授業中、ドアからこちらをチラチラ見てる、トイレの時にも後ろをつけてきたので角を曲がった瞬間に鳩尾に一発入れて撒いたり、部活もそうだ、記録をせっせとパソコンに打ち、書類を消毒し部長に渡そうと部長を見るとバチリと目が合った瞬間、ひぃ!!と手に持っていた試験管を割る部長、何私の顔見て悲鳴あげてんだとムカついて書類を部長の顔にたたき付けたのがつい昨日。
マスクをガッチリ付け角から私達を見ているのだろう悪目立ちもいいとこだ。
「ああ、もう!!」
イラつきが治まらず手に持っていた物を思いっきり後ろで隠れているであろう部長目掛けて投げてみた。後ろでゴンッ!!と軽快な音と共にあっちいぃ!!!!????と言う声にざまぁと心が笑ったがやはり四六時中視線を感じる私にも限界が訪れている。