そう、これが愛



三日前からやたら歌己ちゃんが気になってしょうがない、歌己ちゃん見てると心臓が痛くなって近づくと息が出来なくなる。
こんな汚れた世界にいるのだから何か悪い病気にでもかかったのではないかと、試しに他の人に近づいてみたら気持ち悪くなってもどしてしまった、これはおかしい、嫌、俺がちょっとおかしいのは知ってたけど。


「あ、また欠伸した」


教室で授業を真剣に聞いていると思えば欠伸をする歌己ちゃんにまた心臓が痛くなって右胸の服をクシャと掴む。



昨日は研究内容を真剣にパソコンに打ち込む歌己ちゃんを見ていると不意に歌己ちゃんと目が合って、ビックリして試験官を落としてしまったり、その後何故か歌己ちゃんに書類を顔面にたたき付けられたけどそれさえ心臓が痛くなったこれはマズイもしかして重い病かもしれない。


「部長」
「待って、今凄く悩んでるから後にして」
「部長、いっちょ前に悩み事なんてあるんですか」
「うん、凄く悩んで・・・て・・・・歌己ちゃん」
「はい」
「!?」
「へ?」


病気に関しては散々勉強したつもりだけど、今自分に起こっている症状から思い浮かぶ病名が解らず悩んでいると目の前に歌己ちゃんの顔があり座っていた椅子ごと後ろに倒れ込む。

「部長大丈夫ですか」

「何してるの?」

「私からすれば部長が何してるんですか」

ほら、汚れますよ。

と立つようにと少し笑う歌己ちゃんを見てまた心臓が痛みだし胸を押さえる。

「胸が痛むんですか?」


「うん・・・・俺、変かも」

「今更自覚症状が出たんですね、でも自覚しただけまだ増しです、さ、病院へ行きましょう、大丈夫です私が付いててあげますから」

「付いててくれるの!!やっぱり俺どこかおかしいよね!!勘違いじゃなかったんだ!!」

「そんな大きな勘違い総理大臣が許しても私が許しません。さ、その自覚症状が消え去る前に手を打ちましょう」


「勘違いじゃなくてよかった!!どうりで歌己ちゃん見て心臓痛くなったり息できなくなったり泣きそうになったり!!もう、俺死んじゃうかと思って」

「・・・・・・・・・」

「あれ?歌己ちゃん早く病院行こ」


「部長」

「な、何?歌己ちゃ・・・ん、ち、近い」


< 8 / 98 >

この作品をシェア

pagetop