オアシス
「たぶん……好きだと思う」
「やっぱりね」
……。
「何となく、そんな感じがしてた」
……。
「今日のこともそうだけど……、前の飲み会の時だって……」
「え?」
「瞳、準平君のこと気にしてたよね。その時から、何となく気づいてた」
……。
“菜々って意外と鋭いんだ……。普段からバカっぽい感じだから気づいてないと思ってた”
「準平君、彼女いるのかどうかわかんないけど、付き合えるチャンスかもよ!」
“そっか……準平には彼女がいるかも知れないんだ”
そんなことはすっかり頭にはなかった。ただただ準平に夢中で、準平そのものがずっと脳裏に焼きついていたから……。
「準平君、彼女いるよね……きっと」
そんな弱気な言葉が勝手に出た。
「わかんないけど、でもそういうのって……確かめるの怖いよね……」
そう言って菜々は敷いた薄い毛布の上に仰向けに寝て、タオルケットをかけた。私も横になったが、なかなか寝付けなかった。