オアシス


「すごい星だよな」

聡は起き上がった。

「流れ星、見れるかも! 子供の頃はよく見たよ、流れ星。何回見ても興奮するよ! 田舎だったからさ、こんな風に天の川も見れたし!」

聡がわざと明るく振る舞ってるのがわかった。

「あ、さっき言ったこと気にしないで」

……。

「君に会えて良かったって言ったこと……深い意味はないって言うか、もう忘れて」

……。

聡はテントへ戻っていった。この時、携帯電話はテントに置きっぱなしにしていた。メールや着信に気づくはずもない。

テント内では、いっちーが大の字になっていびきをかいて爆睡している。うるさくて眠れるわけもなく、携帯を持って再び外に出た。ここではじめてメールと着信に気づいた。相手は稲垣はるかだった。

“今どこにいるの? 準平にもメールしたんだけど返事来ないし、電話も出ない……”

これが、はるかからのメールだった。次に留守電を再生する。

“もしもし聡? 今日もご飯作って待ってたんだけど、聡も準平も帰ってこないから……”
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