オアシス
Vol.2〈理想と現実〉
〈Vol.2〈理想と現実〉〉
携帯のアラームで目が覚めた。いつものように半分しか開かない目のまま、手探りで携帯をつかむ。アラームをとめ、飛び起きた。見慣れない光景に一瞬戸惑う。
“あ……そっか……”
私はビジネスホテルに泊まったことを忘れていた。上半身だけ起きあがり、辺りを見渡してようやく気づく。テーブルの上にはコンビニ弁当の空き箱、ジュースの空いたペットボトルが転がっている。一人掛けのソファの上には、シャツや下着が散乱中……。
私はしばらく朦朧としていたが、ようやくベッドから脱出し、カーテンを開き窓を開けた。今日はすごく天気がいい。暖かくて柔らかい春の日射しが私のテンションをあげていく。
思えば昨日は散々な目にあった。駅員の冷たい態度、行き方がわからない電車……。ここのホテルは中野駅からすぐなので、迷わずチェックインすることはできたが……。