オアシス
灰色の空気が立ち込めている。

はぁ〜……。

ため息をついた。ここ数日、ため息ばかり出る。四月下旬に差し掛かろうとしているこの時期……。暖かい風が通りすぎる。空を見上げていた私の目には飛行機が映った。あの飛行機、どこに行くんだろう……

……札幌かな。

私は、轟音と共に小さくなっていく飛行機を見上げていた。限りなく小さくなるまで、見上げていた。


夕方。

ホテルに帰る途中、駅前でチラシ配りをしている男にチラシを手渡された。適当に鞄の中に突っ込む。

ホテルの部屋に戻り、一人掛けのソファに鞄を放り投げ、私はベッドの上に座った。

今日も、一日が終わった。何の収穫もなく、過ぎていった。

ここ数日間は食費も節約していて、今日はクリームパン一個と100均で買ったミネラルウォーター一本だけ。

私はベッドに座ったまま、部屋に取り付けてある姿見の鏡を見た。


映っていたモノは……。
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