オアシス
思いきって電話をすることにした。

“私には今お金が必要なんだ”

数回のコールのあと、


「お電話ありがとうございます! プライベートガールズです!」


と男性が出た。


「チラシを見てお電話しました……」

「面接ですね? 明日の午後1時でいいですか?」

「は、はい!」


こっちがチラシを見た、と言っただけで面接ですね? と言われてしまった。


「あの、出張面接していただけるんですか? もし可能ならお願いしたいのですが……」


私は面接場所まで行く電車代をも厳しい状況なので、ホテルの最寄り駅付近のカフェまで来てもらうことにした。ちょっと図々しいかな……と思ったりもしたが、向こうがいいと言っているのだから、お言葉に甘えることにした。そして男性は、こう付け加えた。


「面接の際は履歴書は不要ですので」

そう言われて、ひとまず電話を切った。

面接なのに、履歴書不要……。
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