オアシス
Vol.3〈きっかけ〉
〈Vol.3〈きっかけ〉〉
翌日――
私は、ホテルの最寄り駅の前に来ていた。待ち合わせ時間は、午後1時――
スマホで時間を見る。もう1時になろうとしていた。しかしそれらしき人物は現れない。
もしかして……
すっぽかし?
あんなチラシ……いかにも怪しい。私は焦りながらキョロキョロしていた。
“なんで来ないの?”
時間が気になり、またスマホを見た。
その時――
「昨日お電話をくれた方ですか?」
「は、はい……」
見ると30代後半くらいの、線の細い小綺麗な女性が立っていた。
「面接の待ち合わせ場所がここだと聞いたので……遅れてしまって、ごめんなさいね」
「あ、いえ……」
「どこか近くの喫茶店にでも入って、ゆっくりお話しましょう」
私は、スタスタと歩いていく女性のあとを必死で着いていく。高くて細いヒールで、よくそんなに早く歩けるものだと思いながら。