オアシス
「わかりました」


声が聞こえて頭を上げる。目の前に女性が笑顔で立っていた。


「私達スタッフは、全力であなたをバックアップします。一緒に頑張っていきましょう」

「はい!」


東京の空のように灰色だった私の心が、青空へとかわっていった。



………………



私は女性が運転する車に乗り、池袋へと向かった。

雑居ビルとビルの間の狭い路地を行くと裏口に着いた。狭い路地の隅の方には、分別されていないゴミ袋が積み上げられ、山ができていた。お世辞でも綺麗とは言えないここの裏口から、働いている女の子達はみんな出入りしているという。

エレベーターで上がり、店内にある事務所に通され、ソファに座らされた。

あたりを見渡すと、接客に使う備品やタオル類、コスチュームなどが並んでいる。パソコンもある。ロッカーもある。


「失礼します」


スタッフらしき若い男性が入ってきた。
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