オアシス
やがて音は止まり、また静かな空気が流れ出す。
携帯……私は携帯に対してイラつきを感じた。
“邪魔するな”
そう思いながら携帯を開くと、
090‐××××‐××××……
知らない番号だった。
“誰だろう……? いいや、そのままにしておこう”
私は携帯を閉じた瞬間、
♪♪♪……
まただ。開くと、またしても同じ番号が出ている。
私は、電話に出た。
「……はい」
「もしもし? 朝比奈さん?」
「え? あ、はい」
「丸山聡です。……と言ってもわかりませんよね?」
……。
私を、源氏名の苗字で呼んでくる人はほとんどいない。
「すみません……。丸山さんという方には心当たりがないんですけど……」
「そうですよね。oasisの丸山です」
「え? oasis?」
私は思わず二倍くらいの大きい声で聞き返した。
「でも、どうして……」
「小西さんから頼まれまして」
“小西? 確か、小西とは菜々の本名だ”