オアシス
〈菜々〉
が出てきた。すぐに着信ボタンを押す。
「はい」
「あ、菜々? 丸山……聡っていう人から電話かかってきたよ。oasisのメンバーって言ってたけど、どの人か覚えてない」
「聡は、ボーカルの準平のお兄ちゃんだよ」
「あ……そうだっけ……」
「うん。そうだ瞳、聡に勝手に瞳の携帯番号教えちゃってごめんね」
「それはいいけど……」
電話の向こうでは騒がしい音が聞こえてくる。女の声だ。
「ごめんね。今、友達と買い物中なんだ。帰ったら電話するから。じゃあね」
一方的に電話は切られ、静かな部屋の中で孤独感に襲われつつあった。
東京には、友達と呼べる人は一人しかいなかった。
菜々だ。
どこか遊びに行くとしたら菜々と一緒だった。
私の友達は、みんな地元にとどまっている。でも菜々は違う。
友達と一緒に上京してきたから普段から友達と一緒に遊んでいた。
最初は、友達なんかいなくてもいい。運よくバイト先で作れればラッキー……なんて思っていたが、最近の私は違っていた。上京して三ヶ月ちょっとが過ぎて、親友と呼べるほど仲の良い菜々が遠くなっていくような気がしていた。
が出てきた。すぐに着信ボタンを押す。
「はい」
「あ、菜々? 丸山……聡っていう人から電話かかってきたよ。oasisのメンバーって言ってたけど、どの人か覚えてない」
「聡は、ボーカルの準平のお兄ちゃんだよ」
「あ……そうだっけ……」
「うん。そうだ瞳、聡に勝手に瞳の携帯番号教えちゃってごめんね」
「それはいいけど……」
電話の向こうでは騒がしい音が聞こえてくる。女の声だ。
「ごめんね。今、友達と買い物中なんだ。帰ったら電話するから。じゃあね」
一方的に電話は切られ、静かな部屋の中で孤独感に襲われつつあった。
東京には、友達と呼べる人は一人しかいなかった。
菜々だ。
どこか遊びに行くとしたら菜々と一緒だった。
私の友達は、みんな地元にとどまっている。でも菜々は違う。
友達と一緒に上京してきたから普段から友達と一緒に遊んでいた。
最初は、友達なんかいなくてもいい。運よくバイト先で作れればラッキー……なんて思っていたが、最近の私は違っていた。上京して三ヶ月ちょっとが過ぎて、親友と呼べるほど仲の良い菜々が遠くなっていくような気がしていた。