オアシス


「はい。行きます」

「開演は夜六時半から。会場は、こないだと同じ所だよ。下北の」

「わかりました! 急いで行きます!」

電話を切り、私のテンションは最高潮だ。また、準平に会える。準平を……見ることができる。

五時ぴったりになり、すぐに私服に着替え貴重品を取りに行き、店長から給料をもらい、店を出た。

家に帰ってる暇はない。このまま真っ直ぐ行こう。Tシャツにジーンズ……ライブだから、まっ、いっか。

駅まで走り、電車に飛び乗った。

息があがって仕方ない。座席に座ってしばらくボーッとしていた。早かった心臓の鼓動が段々と落ち着いてくる。

会場は同じ所だから、迷わずに、スムーズに行けた。会場の最寄り駅に着くと、たくさんの人がいて、こないだと同じくみんなライブへ行くようで私は人の波に着いて行った。

会場に着き、私は一瞬立ち止まった。

チケット……

“スタッフに話通しておくから”

聡の言葉を思い出し、チケット切りのスタッフに言うとすぐ中へ入れてくれた。
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