オアシス
「うん……」
「別に気にしなくていいから。わかった?」
「……わかった。でもね、ちょっと嫌なことあって……。だから、菜々に黙って一人で楽しんだからバチが当たったのかなって」
「そんなことでバチが当たってたら、神様だって疲れちゃうよ」
……。
「そんなこと、いちいち気にしなくていいから」
「うん。わかった……」
私はきっぱりと言うつもりだったが、曖昧な言い方になってしまいそのまま電話を切った。菜々と話せて気持ちがすっきりした。
そして私は、準平に恋をしていた。
準平を無意識のうちに思い浮かべ、会いたいと思う。
会いたい。
恋しい。
準平。
……聡?
どうして、聡が?
準平が出てくると、聡が出てくる。
そうなんだ。私は、聡と準平……二人に恋していたんだ。準平だけじゃなく……兄弟に。