オアシス
目を見開いて真正面にいる聡を見据えている。

優しい目をした聡に一瞬ドキッとした。思わず下を向く。胸の鼓動が速度をあげてきた時、はるかは立ち上がった。

「そ、そろそろ行くね」

聡の方を見れず下を向いたまま、そう言って急いで店を出た。

慌てて飛び出したせいでコーヒー代を払うのを忘れた。でも恥ずかしくて戻りたくない。

はるかは、振り向き様にカフェのドアをずっと見つめていた。



………………



いつものように朝10時に出勤する。コスチュームに着替え、窓のない狭い部屋で夕方まで過ごす。



今日は、いくら稼げるのだろう――



いつもの私なら稼ぎのことを一番に考えるのだが、今日はいつもと違う。

稼ぎよりも、聡と準平のことを思い出す。早く二人に会いたい。oasisのライブに行って二人の姿を見たい。日に日に強く思うようになっていった。ライブに行く=会う、という感覚が、はたから見るとおかしいのかも知れない。私は[ライブに行く]ということを[二人に会う]と無意識に考えるようになっていた。



今日は暇だった。気がつけば、お昼になっていて私はフロントへコールした。

「オムライスお願いします」

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