オアシス
「了解。いつものね」

と、受話器の向こうで男性スタッフが愛想良く言う。

私はいつもと同じ出前を頼み、床に座った。あまりおなかはすいてなかったけど、いつもの習慣で出前のオムライスを頼んだ。

朝から出勤して、まだ一人も接客していないが今日はもう帰りたかった。なんとなくダルくて接客する気にはなれない。

「はぁ~……」

ため息が出る。

静かな部屋の中で、私は体育座りをし顔を伏せた。目を閉じると段々睡魔がやってくる。

私は、知らない間にほんの数分寝ていたようだ。でも、あっという間に邪魔をされた。



コンコン……。



均衡を破るかのようなノックが聞こえ、

「はい」

「瞳~! はい、お待たせ。オムライスだよ~ん!」

菜々が相変わらずテンション高めで入ってきた。手にはオムライスと、自分用のハンバーグ弁当を持っている。

「今日暇だしさぁ~、一緒にお昼食べよっ!」

「うん。何か今日は出前も早いね」

「あ、そうだよねぇ~。ここの店が暇なように、お弁当屋さんも暇なのかなぁ?」

そう言って菜々は即席のコンソメスープを冷ましながら飲んだ。

「おいし~い」

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