空を泳ぐさかな 【短編】
私が将来について考える事ができないのは、夢のタマゴを吐き出しすぎたせいなのかもしれない。


苦しい気持ちを紛らわすために、機械のようにシャボン玉を吹くようになったのは、高校生になってからだ。

中学生の時は、目標の高校に合格出来るようにひたすら勉強して過ごしていた。
高校に入る事が夢だった。
目標の高校に無事合格、夢は叶った。


だけど次は?


次の夢は全く浮かんでこなかった。

周りの同級生は自分の進路を決めつつある。

私だけが置いていかれる。

そんな焦る気持ちを落ち着かせるために吹いてきたシャボン玉。

それが夢をなくす原因になっていたなんて皮肉なものだ。
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