空を泳ぐさかな 【短編】
「これ、返すよ。大事にした方がいいよ」
私は、差し出されたまま小瓶を受け取ってしまった。
小さな瓶の中で、薄紫色のタマゴがカラカラと音を立てる。
「あんた、何者なの?」
「名前はショウ。小学校六年生。夏休みにこの街に引っ越してきたんだ。趣味は人間観察。特技は手品。お姉さんは?」
欲しかった答えは、自己紹介ではなかったのだけれど、まあいいか。
「…チヒロ。高校二年生。生まれた時からこの街に住んでる。趣味も特技も特になし」
「シャボン玉は趣味じゃないの? だって僕が二時間前に、友達とここで遊んでいたときからずっとシャボン玉吹いてたでしょ?」
「…二時間も前から見てたんだ…」
「うん」
私は、差し出されたまま小瓶を受け取ってしまった。
小さな瓶の中で、薄紫色のタマゴがカラカラと音を立てる。
「あんた、何者なの?」
「名前はショウ。小学校六年生。夏休みにこの街に引っ越してきたんだ。趣味は人間観察。特技は手品。お姉さんは?」
欲しかった答えは、自己紹介ではなかったのだけれど、まあいいか。
「…チヒロ。高校二年生。生まれた時からこの街に住んでる。趣味も特技も特になし」
「シャボン玉は趣味じゃないの? だって僕が二時間前に、友達とここで遊んでいたときからずっとシャボン玉吹いてたでしょ?」
「…二時間も前から見てたんだ…」
「うん」