リエヴェメンテ
魔王と勇者のカノン
「ねぇ、魔王ヴィアクユール。世界を見てみたくない?」
一部の人間の悲願とも言える願いを背負ってやってきた女勇者は、そう言ってにっこりと笑った。



勇者が来たと配下の者が騒ぎだし、魔王はため息をひとつ落として彼等を黙らせた。
ブーツの足音が大広間に高く響く。
やがて玉座の近くまでやってきたその女勇者と向き合う。

肩口で切り揃えられた赤銅色の髪と海のような藍色の瞳。
無駄な肉のない、それでいて細い体に纏うのは軽装鎧。
顔はキツイ印象とはいえ整った部類に入る。
彼女の右手には抜き身の長剣。よく使い込まれているようだった。

正面から名乗りをあげる勇者と視線が噛み合った。
そして突如勇者は冒頭の台詞を吐き出したのだ。
< 1 / 8 >

この作品をシェア

pagetop