リエヴェメンテ
まだ一部の人間と魔族が争いを始める前。
8年前。
ある人間の国の大使が、結んでいた平和条約の更新のため来ていた。
その大使の娘と魔王になる前のヴィアクユールは遊んだ。
魔族は人間よりも肉体の成長が遅かったが、お陰でその少女と同じ目線でいられた。

周りが皇子としかヴィアクユールを呼ばない中、彼女だけは嬉しそうに『ヴィア』と呼んだ。

彼女が帰る日が近くなり、そして隠れて城を脱け出し、ひとつ約束した。
叶うわけがないと、13歳ながら知っていたヴィアクユールは、それでも彼女と約束した。


『二人で知らない世界を見に行こう』


星の海を眺めながら、約束した。
その次の日、彼女が帰る日に魔族の中でも平和条約反対派の者が強襲してきた。

崩れ落ちる壁。
広がる爆煙。
誰かの怒号。



…そして、彼女の血。
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