Best Love
「僕が話している間だけ、こうしていてもらっててもいい?」
私は先輩の腕の中で頷いた。
「・・・本当は、前から君の事を知っていたんだ、鳥巣優子さん。」
耳元で名前を呼ばれて、私の体に少し緊張がはしった。
「君は覚えて無いみたいだけど、僕の君を初めて見たのが約三ヶ月前の金曜日。僕はナンパから姉を守るため、週に何回か姉と一緒に帰ってるのだけど、その日は手違いで姉と会うのが遅くなってしまったんだ。」
あ、姉・・・・?
多分、先生が言ってた人の事だよね??
「そのせいで姉がちょっとタチが悪いのに絡まれてね、姉が動けずにいる時にある女の子に助けられたんだ。」
・・・・あ・・・それって・・
「僕がその場に到着した時にその子は僕の姉の前に立っていてね『離れないと警察呼びますよ!』って大声で叫んだんだ。」
覚えてる・・・
あの人、先輩のお姉さんだったんだ・・・
「でもそいつらは『呼べるもんなら呼んでみろ』って女の子の腕を掴んだんだ。そしたら女の子なんて言ったと思う?」
先輩はそう言って私を少し離して、顔を覗いた。
先輩の顔はイタズラっぽく笑っていて、私もつられて笑いながら答えた。
「私は空手黒帯です!これ以上何かしようとしたら投げ飛ばしますよ!!」
そして
「「ぶふっっ」」
二人で同時に吹き出した。