【短編】花咲か兄さん【企画】
「い、いってきまーす!」
大慌てで支度を済ませて
ピョンとだらしなく跳ねた髪を
無理矢理に手で抑えながら走る。
何で寝坊した?
準備は昨日のうちからしてただろ?
ええい、言い訳モードは良いんだよ!
とにかく走らなきゃ。
間に合うはずなんてないんだけど
それでも死ぬほど走ったら
1分くらいは神様もおまけして
巻き戻してくれるんじゃないか?
――ああ、ダメだ!
現実逃避してる暇があったら走らなきゃ。
うぅ……何でこんな大事な日に。