【短編】花咲か兄さん【企画】
勇気の花
◇満side◇
まさか初デートで
遅刻しちゃうなんて……
すっげ、へこむ。
でも
「すっごい良い天気だねー」
隣で笑う君の笑顔で
風船みたいに気持ちが軽くなって
何処までも
飛んでいってしまいそうな
気持ちになる。
「ねぇ、花ちゃん。少し歩くけど、東春山公園に行ってみようか」
僕からの提案に花ちゃんが頷く。
「うん。あそこの公園ってお花がいっぱい咲いてて私大好きだよ」
ゆっくりになった心臓。
ようやく花ちゃんを
見ることができた気がする。
真っ白のワンピース
やばい……可愛いよ。
「あ、あの花ちゃん。そのワンピース……」
「ん?」
可愛いね。って
たった一言が出てこない。
「ワンピース……変くないかな?」
「へ、変なわけないじゃん!すっごい可愛いよ!」
「あ……えへへ。ありがとうみっくん。嬉しい」
勢いでだけど可愛いって言えた。
いや勢いで言ったくらいで
満足してちゃダメだって。
いつかサラッと
言える様になったら良いな。