【短編】花咲か兄さん【企画】
◇満side◇
「良いじゃん
そんなのどっちからでも
私はこうやって
手を繋いで歩けることが
すっごい幸せだよ?」
僕はそれを聞いた時に
思わず花ちゃんを抱き締めていた。
「え、あの……みっくん?」
「花ちゃん大好きだよ」
ぎゅって抱き締めるのは
恥ずかしくて
背中にそっと手を回しただけ。
でも花ちゃんの
温もりが伝わってきて
頭がぼーってした。
「みっくんって……」
「ん?」
「意気地なしだけど、
変な所で大胆……」
うぐっ。
自覚してるけど
彼女に意気地なしって
言われるのキツいな。
「い、嫌じゃないかな?」
「うん、嫌じゃない。
すっごい嬉しいよ。
私もみっくん大好き」
花ちゃんの声が
耳の奥でいつまでもこだまする。
くすぐったいような幸せ。