~PM3:52~
高校1年春 入学式桜通りの道
をめんどくさそうに歩く母を、
すこし睨んでまた前を向き直し
歩いていた。そのとき母からは
いつもと違うタバコの臭いがした。
“1年2組……どこやろか。”
そう思いながらクラスを探して
いると後ろから『おっは鈴♪』
と声が聞こえて振り返ると中学
の頃隣のクラスで毎日一緒に、
登下校をしていたショートボブ
の黒髪がよく似合う永田 亜美
がこっちに向かって手を振って
いるのが見えた。
『亜美もう着いとったんや!』
『鈴が来るん遅いだけやぁ!』
『あたしこれでも早いわ!!』
『ハイハイ♪てか鈴何組やった?』
『1年2組やねんけどこの学校
広すぎて迷っててん。 』
『…ほんま?!あたしも2組や
ってん。探しとったんよ!』
『ほんまに?よかったわあ~。
仲のいい友達おって♪ 』
『ほんま嬉しいわあ~また亜美
とふざけ合えるやねんから』
『そやね♪ほなクラス行こか』
『うん!』
~ガラガラ~
“ シーン。 ”
クラスに入った瞬間ものすごい
シラけた空気が漂ってきた。
『亜美…ここやんな…2組?』
『…うん。そうみたいやな。』
きっとこの時、私も亜美もこの
クラスの雰囲気に圧倒されていた。