世紀的大恋愛
first°・ 崩壊
ちょうど一年前くらいだろうか。
春。
出逢いと別れの季節。
私が中学二年生を終える三日前位。
毎年、新聞に先生達の異動等が新聞に
掲載される。
勿論、小学生の頃から見ていたりもする。
「へ~。あの先生遠いところに異動か~。」
「来年からこの先生が来るんだ~!楽しみ。」
淡い期待をちょっぴり抱いてしまうのも恒例。
だけど、違ったんだ。
「香~!ほのかちゃんのお父さんが来るよ!」
わたしは、お母さんから強引に新聞を奪い、
自分の目で確認する。
[大野中学校⇒河東中学校:(教頭)多野聖二]
本当だ。嘘じゃない。
ほのかちゃんというのは妹と一緒のピアノ教室の子。
勿論、家族絡みの付き合いもしている。
だけど、ほのかちゃんの父親と私は
会ったことがない。つまり面識がない。
だからこそいやだったんだ。
多野さん宅は、とてもお金持ち。
ピアノなんてオーダーメイドのものが二台。
一台は、ほのかちゃんの練習用。
もう一台は、多野さんがしているピアノ教室で使うもの。
当然、家もとっても大きくて綺麗。
一方私、松阪家はというと。
一般庶民。
ピアノだって普通に売られているものだし。
そんなに家も大きくないし、むしろ和風で古い。
少し背伸びして付き合っている感じも
なかったわけじゃなかった。