君に恋した

変な人


『はぁ…。』


「何ため息ついてんのよ…。幸せ逃げるよ。」


『いいよ別に。逃げるほどの幸せ無いし。』


「おいおい…。」



昼休み、他の子達はキャピキャピ騒いでいるのにもかかわらず、私達は静かにお弁当を食べる。


「香凛、またパンだけ?」

『作るの面倒くさいし。』






「あの、春瀬さん。倉原君が呼んでるけど…」


と、クラスの女の子に呼ばれて、教室のドアに目を向けると、昨日の彼が立っていた。


「あれ?香凛、蓮君と知り合い?」


『いや、知り合いっていう訳じゃないけど…』



「香凛ちゃん、昨日は本当にありがと!!」


そう言って、ビニール傘を差し出してくる。


< 12 / 292 >

この作品をシェア

pagetop