君に恋した

真実




17年前――――






「高梨さん…この子をもらってくれませんか?」








「春瀬さん……どうしてですか?俊哉君もそうでしたよね?」










「この子は香凛と言います。俊哉には、悪いことをしたと思っています。今度こそちゃんと育てようと思いました…。しかし、この子を愛せる自信がないんです…」








「何故ですか?」








「この子の顔を見ると俊哉を思い出してしまって…。」








「ですが、俊哉君はもう中村さんご夫妻に引き取られることになっています。きっと幸せになれると思いますよ。出発は今日の17時です。会っていかれますか?」








「いいえ。香凛を預けたらすぐ帰ります。お願いします。この子を預かってください!!」








「………どうして、育てられないのに産んだりするんですか?。」







「お腹に子供ができたら、殺してしまうのは可哀想だと思ったからです。でも、現実は甘くはありませんでした…。」








「そんなの分かりきったことじゃないですか!?香凛ちゃんと俊哉君の気持ち考えたことあるんですか!?」








「すみません。すみません。………。」






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