君に恋した


蓮side



走り去った香凛の後を追いかけようとすると――




「待ってください!!」




香凛の母親という人に呼び止められた。



「何ですか?」



「あなたと香凛の関係は…?」



「答えなきゃいけませんか?」




「………。」



「………付き合ってるんです。俺たち。」



「そうなの…。」



「俺もう行きますよ。」



「待ってくれ!!」




今度は父親という人に呼び止められた。



「まだ何か?」



「香凛は毎日幸せに過ごしていますか?」



「……親に捨てられた子供が簡単に幸せになんてなれるわけないじゃないですか。少なくとも、俺が初めて会った香凛はとても悲しそうでしたよ。」



「「………。」」



「あなた方の事情は分かりませんけど、これだけは言っておきます。香凛を産んでくださってありがとうございます。」


「え…。」



「俺、もう行きますね。」



そう言って香凛を追いかけた。




蓮side 終わり



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