君に恋した

『はぁ…。だるー。』

ビニール傘をさして歩き出すと



「春瀬さん!」



『(今日はよく呼び止められるなぁ。)』と思いながら、声のした方へ振り向く。


「君、2年3組の春瀬香凛さんでしょ?」


『………』


「無視しないでよ~」


『そうですけど、あなた誰ですか?』


『あ、俺?俺は、2年2組の倉原蓮(クラハラレン)。よろしくね。』



『………』


「俺、傘無いんだ。よかったら入れてくれない?」


『朝から、雨降ってたけど、なんで傘持ってないんですか?』


「いや~それがさぁ、誰かにビニール傘持っていかれちゃったみたいでさぁ~」


『それなら、他当たってください。それじゃぁ。』


そう言って、また歩き出す。




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