君に恋した


少し、中村から距離をとる。





生徒指導室になんとも言えない空気が漂う。







「……悪かったな。」







『べ、別に大丈夫です。』






「別に、変な意味じゃないんだ……ただ、春瀬と妹がなんとなく似てて……」






『妹さんいたんですか…』






「……春瀬と同い年の妹がいるんだ。もうずっと会ってなくてな…。春瀬見てると、妹を見てる気持ちになったんだ…。」




そう言う、中村の表情を見ると、すごく悲しそうで、きっと触れてはいけない何かがあると思った。








『まぁいいですけど…私教室戻ります。』






「大丈夫か?」






『はい。』







「俺もすぐ戻る。」




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「ごめんな、"香凛"」







私が出ていった後、先生はそう呟いた。






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