君に恋した
「あ~食った食った。そろそろ帰る?」
『そうだね。』
「家まで送るよ。」
『悪いからいいよ。』
「大丈夫だって。家どの辺?」
『学校の近く。』
「マジで?俺の家も学校の近くなんだ。あれ?でも中学違うよね?」
『高校生になったときに引っ越したから。』
「そうなんだ。」
――――
―――
――
『家ここ。ありがと。』
「どういたしまして。俺の家から近いな。もう少し先に行ったところにあるマンション。」
『へぇ~じゃぁまた月曜日に。』
「ちょっと待って。これ…」
そう言って、ポケットから何かを取り出した。
「さっきトイレ行った時に買ったんだ。ちなみに俺とお揃いね。」
それは、イルカのストラップだった。
『あ、ありがと。』
素直に受けとる。
「傘のお礼と、今日の記念に。よかったら付けてよ。無理にとは言わないけど…。俺、今日すげぇ楽しかった!じゃぁまたね!」
後ろを向いた彼の背中に勇気を出して、自分の思いを伝える。
『わ、私も楽しかった。じゃあね。』
その声を聞いて、振り向いた彼の笑顔は一生忘れないと思う――――