君に恋した
ザーザー――
『雨すごいな…。』
大粒の雨にうんざりしながら、とぼとぼと歩いていると―――
クゥーンクゥーン
動物の鳴き声が聞こえる
。
『犬?』
鳴き声の聞こえる方へ行ってみる。
鳴き声は、近くにある空き地から聞こえているみたいだ。
空き地に行ってみると、隅の方に段ボールが置いてある。
段ボールの中には子犬がいた。
『君も、捨てられたの?私と一緒だね。』
そう言って、子犬を抱き上げて撫でる。
『ごめんね。家じゃ飼えないんだ…』
――――
―――
――
「あれ?香凛ちゃん。」
『あ、さっきの、めんどくさい人。』
「え、めんどくさい人って…倉原蓮だって。蓮でいいよ。で、香凛ちゃん何してるの?」
『別に。』
「ふ~ん。あ、犬じゃん。可愛いね。お前捨てられたのか?可哀想に…」
『可哀想か…』