君に恋した

ザーザー――


『雨すごいな…。』


大粒の雨にうんざりしながら、とぼとぼと歩いていると―――



クゥーンクゥーン


動物の鳴き声が聞こえる




『犬?』


鳴き声の聞こえる方へ行ってみる。


鳴き声は、近くにある空き地から聞こえているみたいだ。


空き地に行ってみると、隅の方に段ボールが置いてある。



段ボールの中には子犬がいた。


『君も、捨てられたの?私と一緒だね。』


そう言って、子犬を抱き上げて撫でる。


『ごめんね。家じゃ飼えないんだ…』


――――
―――
――



「あれ?香凛ちゃん。」


『あ、さっきの、めんどくさい人。』


「え、めんどくさい人って…倉原蓮だって。蓮でいいよ。で、香凛ちゃん何してるの?」


『別に。』


「ふ~ん。あ、犬じゃん。可愛いね。お前捨てられたのか?可哀想に…」


『可哀想か…』



< 9 / 292 >

この作品をシェア

pagetop