野球部のあなたとあたし
次の日。


昨日日付が変わってからもしばらくメールが続いたから寝不足だけど、昨日のことを思い出すだけで心が踊る。


あんなに楽しかったのは、久々だったな……。


「よかったね~」

「うん。夏川くん、けっこういい人」

「たった一日でねえ。なんて単純」

「単純だもーん」


沙弥はすっかり呆れてる。


今日夏川くんに会ったら、あいさつをしよう。


メールありがとうって、昨日は楽しかったよって、伝えたい。


「美那、何買う?」

「んーとね、おにぎりとコッペパンとロールケーキ!」

「買いすぎっ!」


購買で早弁用のおにぎりとパンを買う。


3個も買う人はそうそういないから、周りの人も驚いて、おにぎり達を抱えたあたしをジロジロ見てる。


「あんた、弁当もあるんでしょ?」

「お腹すいちゃったー」

「買いすぎだって」


沙弥も小さい蒸しパンを買って追いかけて来る。


「やっぱ寒いと無駄に体力使うしね~」

「こいつは、恋をすると食欲旺盛になるタイプか……」

「なんか言った~?」

「いんや、なんにも。……あれ、噂をすれば影が差す」

「え?」


沙弥が目を向けている方向に視線を移すと、夏川くんがこちらに向かって歩いてきた。


「珍しい~。夏川くん7組めったに来ないよね」


沙弥がそんなこと言うから、もしかして…なんて思ってしまった……。


「な、夏川くん……。昨日……」


一瞬目が合って、すぐそらされて、あたしのそばを通って教室に戻っていってしまった。

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