野球部のあなたとあたし
「……なんで?」


すっかり落ち込んじゃって、さっき買ったパンをちびちび食べてるあたしって、なんて気持ちの移りようが激しいんだろうか……。


「やっぱ美那が3個も抱えてたのが…」

「やっぱダメ?」

「男子ならともかく……女子はせめて2個かなあ」


そうですか……。


大食いの女子って、男子は引いちゃうのか……。


じゃあ、手ぶらで話しかけたら普通に返してくれたかな?


「どうすれば……」

「落ち込まなくてもいいじゃない。好きな人に見られたわけじゃあるまいし」

「うん……まあ……」


好きな人じゃない……か。


好きな人………。



「美那?あんたもしかして……」


沙弥があたしの顔を覗き込む。


「美那~!」


沙弥が口を開きかけた時、廊下から部活の友達に呼ばれた。


「あ、ごめん。沙弥」


あたしは席を立って、廊下に出た。

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