野球部のあなたとあたし
「気になってるね~」


沙弥がニヤニヤしながら見てきた。


「うるさいな~」

「でも気になるんでしょ?夏川くん」

「なんで無視してんのかが気になるだけ」


あれからずーっとイライラしているあたしを、沙弥がからかう。


余計にイライラする。


こいつ、実は腹黒いんじゃない!?


「気になるんなら、直接聞けばいいじゃない」

「無視されてるのに、それ以前に会話も成り立たないね」

「あ、そっか」


思わずため息が漏れる。


「いい人だって、思ったのにな……」


夏川くんは今日も7組に来て木戸くんと話している。


あれ以来夏川くんは毎日7組に来るようになった。


夏川くんと木戸くんが笑って話しているのを、あたしは教室の隅でただ見てるだけ。



夏川くんがなんで無視するのか気になる。


あの日、夏川くんとなんであんなにメールが続いたのかな……。


あたしが嫌だったら、謝るだけで、話題提供する必要なかったじゃない。


……そういう人なのかな。


好きでも嫌いでもみんなにああいうことを送るのかな。


「……まさか、別の人かな」

「は?」

「夏川くんじゃなくて……もっと別な人があのメールを打ってたのかな」

「美那?どうかした?」


いきなり呟いたから、沙弥の頭は?ばかり。


でも、そう思っちゃうよ。


「んなわけないじゃん。あんなメール夏川くん以外に考えられる?」

「わかんないよ。だって、あたしには誰がメールを送ってるかなんてわかんないもの。夏川くんのケータイで他の人が打ってるってことも有り得るし」


言ってて悲しくなってきた……。


なんでこんなマイナスなことしか考えらんないんだろ。


「考えすぎよ、美那は」


沙弥がでこピンした。

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