野球部のあなたとあたし
考え過ぎって。


そんなこと言われても……。


みんなは思わないの?


あれは嘘だったんじゃないかって、疑わないの?


あたしが変なだけ?


あれやこれや考えながら廊下を歩く。


「あ、夏川ー」


前方で夏川くんを呼ぶ声がした。


なぜかあたしがドキッとしてしまう。


夏川くんと背が小さくて可愛い女子が、笑い合っていた。


夏川くん、女子と話すんだ……。


初めて見たから驚いた。


やっぱ男子って、小さくて可愛い女の子の方が好きだよね。


あたしみたいな、背が高い人より……。



夏川くん、好きな人とかいるのかな。


普通だったらそれくらい、いるよね……。



そう思ったら、胸の奥がズン、と重くなった。


……嫌だな……。



あたしがこんなに見ているのにも気付かずに、夏川くんと女の子はまだ楽しそうに話している。


夏川くん……あの女の子のこと好きなのかな……。



……なんか、落ち込んできた……。



教室に戻ろうとしたら、不意に夏川くんがあたしの方を見て、目が合ってしまった。


あたしはどうしようもなくて、身を翻して反対側を走った。
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