野球部のあなたとあたし
「何?」

「もうすぐバレンタインだよね」

「あーそういえば…」


時は2月。


女の子の間ではその話題で持ち切り。


何作る?

誰にあげる?

男の子にもあげる?……


あたしは、部活の人達と沙弥だけかなあ、なんてぼんやりと考えてたけど。


「……まさか」

「ビンゴ~。バレンタインに夏川くんにあげちゃえ大作戦~!!」

「はああ!?」


あんぐりと口を開けているあたしをそっちのけに、沙弥がニヤニヤしながらブツブツ言っている。


「今年はたしか月曜だったわよね…。よし、土日のどっちかに一緒に作ろ!私も彼にあげるし」

「ちょ、ちょっと……」

「私は大丈夫だけど、美那がねえ。その日に夏川くんに会うかが問題よねえ……。あ、美那が会いに行けばいいのか」

「ちょっ、タンマタンマ!!!」


話が飛びすぎている沙弥を必死に止める。


「何よ」

「あ、あたしまだ夏川くんを好きだとは……」

「気になってる程度でもいいじゃない。あげる相手がいることが重要なんだから」

「か、勘違いされたくないし…。それに、あげて嫌われても嫌だし……」

「へえ……。じゃあ、こうしようか」


にや……と沙弥が不敵に笑う。


なんかいや~な予感……。

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