野球部のあなたとあたし
メールはあの一回で終わってしまってそれ以来ずーっと来なかったけど、渡していくら経ってもメールはこない。


来ないと思ってはいたけど、いざ現実でそうなるとやっぱりヘコむ。


やっぱりあの子の方を選んだんだって……。


そりゃそうだよ。


あの子の方がずっと可愛くて、夏川くんにお似合いなんだから。






あたしは完全に嫌われたんだなって、思った一ヵ月後。


教科書を取りに行くためにロッカーの扉を開けたら、クッキーが入った小さな袋が入っていた。


それだけで舞い上がってしまうあたしを抑える。


待て待て。これがあの人からって限らないし。


差出人は書いていなかったけど、その夜に夏川くんからメールが来た。


今更……何を……?


『お礼遅れてごめんね。恥ずかしくて。こないだはほんとにありがとう。うまかった』


この言葉ですっかり舞い上がったあたしは、すぐさま返事をした。


『よかった~。ねえ、今日ロッカーに入ってたクッキーって、夏川くん?』

『そうだよ。あれ、名前書いてなかったっけ?』

『書かれてなかったよ~;まあ、名前書いてあるのもけっこうおかしいけどねw』


前みたいに、メールはかなり続いた。


正直かなり安心した。

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