野球部のあなたとあたし
離れたくても頭を抑えられているから離れられない。


「ん……っ」


唇が離れて、恥ずかしくなって思わず悠の胸に飛び込んだ。


「そういうとこ」

「え?」


びっくりして顔を上げる。


悠は満面の笑みであたしの頭を撫でた。


「照れると顔真っ赤にするとこ」

「ば、ばかっ!」


顔を悠の胸に押しつける。


「そういうとこ、俺大好き」

「だ、大好きなんて、さらっと言わないでよっ!」


そう言いながらも、顔は更に熱を帯びている。


悠はあたしを恥ずかしくさせる達人だ……。


「美那は俺のどこに惚れた?」

「あ、あたし!?」

「前ずっと好きだったって俺告白されたけど」


そういえば、言いましたね……。


「あたしも…言うの?」

「当然」

「なんで?」

「付き合いたくないんだろ?ならこの際お互い言ってスッキリして終わりてーじゃん」


付き合いたくない……。


確かについさっきまでそうだったけど。


「あたしも…ひとめぼれだった……」

「へえ」

「でもいざ付き合ってみたら、からかうし、ほっとくし、怒らせるし。全然ダメだった」

「ほっといたわけじゃねえよ。ちゃんと連絡とってたろ?」

「浮気はするし、初キスは奪われるし。まじでないよ」

「ごめんって」

「……でも、優しすぎ」


また涙が出てきた。


この頃涙腺弱くなったなあ。


なんてしみじみしてたら、悠の手があたしの背中に回って抱き合った。

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